黙っていていいのか2014/06/14 20:25

 目にも耳にも 連日飛び込んでくる「集団的自衛権」という言葉。

 政治のことには疎い婆だが、老い先短い身には関わりのないことだからと、安閑としていていいのだろうか・・・

 施設で90歳代の話を聞くと戦争の話が出る。

 93歳のAさんは中国で終戦を迎え、暴漢と化したソ連兵から身を守るために髪を切り男の姿になってコーリャン畑に身をひそめた。(目を覆う恥辱的な場にも遭った。)
 引き揚げ船で日本に帰るまでの苦労、郷里に着いた時は頭髪も短く粗末な男服だったので近所の人に乞食と間違われた。
 そのAさんは「今の年寄りは幸せだ」とニコニコして言う。

 96歳のBさんは30代で夫を戦地に送り出した。
 終戦でやっと復員の夫はマラリヤ、看病の甲斐なく亡くなり、戦後を子供二人を抱えて必死で生きてきた。
 Bさんもこんな良い施設で皆に守られてありがたいという。

 私は敗戦の年8歳だった。
 今年は69回目の終戦の日を迎える。

 戦争体験者も年を重ね、戦争があったことさえ知らない若者が増えて
「平和ボケ」という言葉が生まれるほどこの国は70年近く平和な時を過ごした。
 この70年間の平和は「憲法第九条」によって守られたのではなかったのか。

 「集団的自衛権」と聞くたび、国民の知らない所で憲法の解釈を変えられ、戦争へとつながるのではないかと危惧を覚える。

 高揚した阿部首相の自信に満ちた弁舌を聞いているとなぜかヒトラーの顔が浮かぶ。

 かじ取りを誤らないでほしいと思う。


《憲法第九条》


1
 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2
 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。