ある日のバスで2013/05/24 19:11

 昼過ぎのバスに乗った。
一番前の座席に掛けた。
一つ停留所を過ぎても乗客がいない。

 あれ?後ろを振り向いたら乗客が私だけだった。
「貸し切り状態ですね」と運転手に声をかけた。
「この時間帯はいつもこんなものです。眠くて困ります」と笑う。
 ルール違反と知りつつ 居眠りされても困るので^^; 重ねて話しかけた。
 「失礼ですが、バスの運転は長いですか」
 「ん~43年かな。車掌として入社したので・・」
 「へえ、車掌さん!懐かしいですね~」

 次の停留所で足元のおぼつかないおじいさんが乗り込んだ。(会話は中止^^。)
 その人が運転手に降りる停留所を聞いた。
 運転手が何度も聞き返す。私も耳をそばたてたが聞き取れない。
 運転手が根気よく聞いて本人も納得したようで T字路の前の停留所で降り右に曲がって姿を消した。

 動き出したバスが信号が赤になり止まった。
 何とその時降りたばかりののおじいさんが戻ってきて バスに向かってくる。
 あら、と思っていると運転手がさっと降車用の前のドアを開け、おじいさんはすまして乗り込んだ。

 「ドアを開けてもらってよかったですね~」
 それから二つ目で降りた。降りるとき私を見てニコッと笑った。
 停留所名を間違えていたらしい。

 乗客も数人に増え、会話は途切れたまま終点になった。
「ありがとうございました」いつものようにお礼を言ってカードを差し込むと運転手もお礼を言ってニコッと笑った。

 ほんの短い触れ合いの中で、運転手の営業用とは違う笑顔とおじいさんの素朴な笑顔をいただいた。

 ルール違反を重ねたバスでの出来事だったがなんだか「田舎のバス」に乗ったみたいなほんわかした気持ちになった。