震災から二年二ケ月 ― 2013/05/10 21:11
橋を通ったら補修工事中の標識があった。
「地震に強い橋になおしています」
明日で震災から2年2カ月になる。
一見丈夫そうな大きな橋を震災後も何気なく渡っていた。
工事中ということは震源地から遠い橋にも地震による傷みがあったのだろう。
私たちが震災前、毎週利用していた市民センターも被害が酷く取り壊された。未だ更地のままで再建されるのは何時の事やらわからない。
大震災は建物だけでなく、人の心にも傷を残した。
沿岸から遠く被害が少なく普通の暮らしに戻っているのに 心の中に淀んでいる澱のような思いを払うことができない。
苦しんでいる人がいると分かりながら行動できない不甲斐なさ。後ろめたさ。
自分にできることは本当にないのだろうか。
友が教えている絵手紙の教室に新しい生徒が入ったそうだ。
昭和5年生まれというから、80歳を超えたご婦人。
80歳を超えて新しいことに挑戦する意欲に驚いた。
新しい人は傍に座ってもらい、おしゃべりをしながら自己紹介を兼ね 教室の事など話す。
お稽古の時間が終わる頃になって、その方は絵とは関係ないことですがと断って地震の事を話した。
3月11日巨大地震のあの日、東松島の自宅にいた。
ワンちゃんを抱いて激しい揺れに耐えた。「津波」という考えが全くなかった。
外が騒がしいと思い窓からのぞくと既に津波が押し寄せてくるのが見えた。
慌てて二階に上がった。海水が二階の畳の上まで来てとうとう家が流され始めた。600メートルばかりのところで止まった。
ワンちゃんと二階で暗く寒い一夜を過ごし翌日自衛隊に救助された。
現在は仙台市の「みなし仮設住宅」に一人で住んでいるそうだ。
80を超えて生死を分かつ体験をされてなお新しいことを始めようとする気持ち、人生をあきらめずしっかりと生きているのだなあと思った。
自分にできることは本当にないのだろうか。
怠けたくて、単に苦しいことから逃れようとしているだけではないのか。
最近のコメント