職人さん2012/12/24 20:15

 
 9月に契約の塗装工事がやっと順番が来て一週間ほどで終わり足場も外された。

 お正月前に済んでほっとしている。

 実直そうな青年とそれより若い茶髪にピアスの若者が二人来た。
メーカーからはお茶は不要と言われていたがこの寒空にと思えば粗茶ながら午前と午後に一服骨休めをしてもらいたい。
 所がボケばあさん一日目から失敗。

 ポットにお茶を入れ、お絞りと紙コップを用意した。
ばあさんに傍にいられるよりは自由にしていたほうがよかろうと
ここに置きます 区切りのいい所でどうぞと声をかけて引っ込んだ。

 ころ合いを見て道具を片付けようとしてアチャ~~!!
コップが出ていなかった。
 コップがなくてどうやってお茶を飲むのよ。困ったばあさんだ。

 午後のお茶の時に謝った。
 「いや~」口数が少ない。
 「市内からいらしてるんですか」「いや、秋田です」
 エッ~!私も秋田よ。

 茶髪の若者は二十歳前と思えた。
 「立派な体格だけど何かスポーツしてたの?」「うん、野球」ボソッと言う。
 「高校で?何高校?」

 若者の答えた高校は兄が大学を出て最初に赴任した高校だった。
 姉と一緒に夕方から始まったブラバンの演奏会を聴きにその学校に一度だけ行ったことがあった。

 偶然に驚いたがそれを話題にするには時代が離れすぎていた。
 60年前の話を出すには無理があったので黙っていた。

 他の現場からある時助っ人が二人はいった。
 
 その若者たちも秋田からと知り
 兄貴分の青年に「社長さんなの?」と聞いたら「はい、親父の後を継いで」とのことだった。

 荒れた日は休んだが一週間ほどのお付き合い、作業中は仲間同士も黙々と仕事をこなし、無口だが好もしい職人さん達だった。

 最後の日、名前も知らない青年たちに「ご縁があったらまた会いましょう」と言ったら笑って、何度もお辞儀をして帰って行った。

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