おんこの実2010/11/05 18:48



買い物帰りの公園でおんこの実がいっぱい生っていた。
こんなにたくさんの実を付けているのを見るのは初めてだ。

お孫さんを連れた女性が通りかかって「ずいぶんついていますね。昔食べたものだけど」と一つ口に含んだ。
「種が大きいのよね~」「甘いけど 今の子は食べないでしょう」と言い、孫君も関心がなさそうにしている。

おんこはいちいとも呼ばれるがこの実を見ると父を思い出す。おんこと父にまつわる思い出が特別あるというのではない。
 麦わら帽子をかぶって黙々と草むしりをしている父の姿が浮かぶ。

不器用で自分をアピールすることの下手だったあの頃の父は何を考えていたのだろうか。
生家のおんこは池の近くにあって円く刈られていた。

私たちはかくれんぼで遊び 時々ルビーのような赤い実を見つけてはつまんだ。

今は父も、家も、おんこの木も年月の中でなくなり、思い出の中にあるだけになった。