モロッコインゲン2018/07/06 17:11

 朝、7時半ころチャイムが鳴った。
私は流しで生憎手が離せなかった。
大急ぎで玄関の戸を開けると去っていく車の後ろが見えた。
ドアの前に 新聞の包み紙が置かれていた。

 あ ○○さんだ。とすぐに分かった。
 新聞紙に赤いマジックで「おはようございます。今日もおげんきでね。○○より」とあった。
 中身はモロッコインゲンがどっさり。
 いつも食べきれないほどの野菜が届く。
  
 午後、お礼の電話を入れたら「わざわざ電話などいいのに。家内が届けたと言ってたよ」とのこと。

 10年ほど前あるサークルで私が秋田出身と知った人が近所に秋田の人がいるという話から
同じ村の○○さんだと分かり、○○さんもびっくりして家を訪ねて下さった。

 私は○○さんのご両親とは話したことがあるが○○さんとは年が10歳以上違い接点はなく
小学校一年生のころの印象しか残っていなかった。
 色白で大人しく賢かった。
その坊やが東京での仕事を全うし定年を迎え同じ団地に居を構えていた。

 どっしりと落ち着いて立派に成長された○○さんは長姉と一緒の写真を持ってこられた。
○○さんは姉の教え子だった。
 姉は終戦近い人材不足の頃 代用教員として村の小学校に勤務していた。
 二十歳そこそこの世間知らずのマジメだけの人だった。

 未熟な担任で迷惑をかけたことも多かったであろうに
私を訪ねて下さったことが有り難かった。

 ○○さんが一家の柱として素敵な奥様とボランティアなど活躍されていることを
姉が知ったらさぞ喜んだことだろう。

 早いもので姉が亡くなってから40年近く経っている。