ご近所に支えられて2011/04/04 22:02

 震災から三週間、ガソリンの給油が出来たので娘に送ってもらい、仙台の自宅に帰った。

 ご近所に「ただ今」の挨拶をしたら、お隣の奥さんから臨時のごみの出し方など教えていただいた。

 電気と水はあるがガスはまだ通っていなかった。

 向かいのTさんのご主人が私の留守の間に水道が復旧して給湯器の所から水が勢い良く吹き出していたから元栓を止めてくれたという。地震の揺れでパイプがずれたらしい。

 昨日、ガスが普及した。全国から応援が来て我が家には神奈川からの応援隊の方だった。
 水漏れのことを話したら、修繕するように指示された。

 コンロは使えるがお湯は使えないからお風呂に入れない。
お隣の奥さんが家のお風呂を使ってと言ってくださった。

 親切と言えばもう一方のお隣のご主人が地震の揺れの収まったあと、外にいた人たちにペットボトルの水と、携帯のガスボンベを配った。
その機転、凄いと思った。

 日頃から良い人たちに囲まれて暮らしているなーと思っていたが 思いやりの形を数々見せてもらえたことは嬉しくありがたいことだった。

日常へ2011/04/13 21:38

 《ケータイで》

 姉の所に届けものがあったので朝のうちに歩いていくことにした。
小一時間ほどあれば着く。

 突然で姉はびっくりしていたが予告をするとおしゃべりが長くなるので、届けものをしたらすぐ帰ると固い決心のもと、出かけたのだった^^。

 「まあ、見てよ」姉は花と野菜を作るのが好きだ。
 淡いピンクのクリスマスローズが咲き、家の周りは草が一本もないほど手入れが行き届いている。
 同じ親から生まれてもずいぶんと違う^^;;

 土をいじっていると何もかも忘れるほど楽しいという。
 「震災のことも?」
 「テレビや新聞を見ると涙が出るけど・・・」
  切り替えが出来ているらしい。

 昨日電話をくれた友達は「震災ウツというものがあるのかわからないけど何だか力が出ないのよね」と言っていた。
 私もそうなのだ。落ち着かなく仕事が手に着かない。

 余震も幾分減って日常に戻れるかなと思っていた矢先、7日深夜の震度6はこたえた。

 再び崩れた物置の棚のものを片付ける気も起きないでいた。

 このひと月の間に考えたことを忘れないで、姉のように日々の暮らしを大事に生きていくしかないのだ。

 午後、銀行へ義捐金を振り込みに行った。
 それから物置の片づけに取り掛かった。

 日常へ戻ろう!!

ドジばあのドジ2011/04/15 16:06

 スーパーのポイントカードが二日前から見えない。
買物の場面はわかるのだがカードを返して貰ったかは思い出せない。

 ドジばあのことだから財布に入れたつもりで落としたかもしれない。
家の中をあちこち探しても出てこないのでサービスカウンターに行った。

「ポイントカードの再発行は出来ますか」
「はい、すぐ出来ますよ」
ヤレヤレ^^。

 フッと聞いてみようかなと思った。
「○○e―ばあといいますが、カード届いていませんよね」
「届いていますよ」
「エッ!」

 店員は小さな箱に入っている10枚ほどの中からマイカードを渡してくれた。
 名前を言っただけで「届いています」と即答したことにビックリ。
記憶が新しいせいかと思ってもみたが、やっぱり若さだなと感心した。

花見山へ2011/04/17 16:46

《福島市・花見山》

 金曜日も夕方になってから娘からメールが入った。
「明日、花見山に桜を見に行こう」

 迷ったがこんな折だからこそ気分転換になるかと決断。
仙台駅から高速バスで一時間余りで福島に着く。

 土曜日と言うのに花見山の駐車場はこの時期だとずらりと並んでいる観光バスは一台も入っていなかった。
が、花見客は意外に多い。

 夏を思わせる陽気の中で ほとんどの人がマスクをつけているのは何やら異様な感じだがそういう自分もマスクをして帽子をかぶっている。
 のどかな景色の空気中でも放射性物質の浮遊を懸念して。

 花見山は三度目だが(娘とははじめて)来るたびいいところだと思う。
主役の桜の他にこぶしが白く光り、レンギョウ、サンシュユ、モクレン、ハナモモなどたくさんの色が混じっている。

 花卉農を営む個人が先代から長い間かけて綺麗な花を見てもらおうと無料で開放している公園だ。

 写真家の秋山庄太郎がその印象を「福島に桃源郷あり」と言ったというのもうなづける のどかな里山で一時間もあれば山をめぐることが出来る。
 雑多な浮世のしがらみをしばし忘れられる癒しの里だ。


オレンジスタジオ



http://orangestudio.homeip.net/gallery/org/userid33401_page1

近場のさくら2011/04/20 18:53

 今年の桜はかくれんぼをして突然物陰から出てきたみたいに一気に咲いてみんなを驚かせた。
 寒暖の差が大きいせいもあろうがが東北の人たちはこの春、桜を待つゆとりもなくを過ごしていのだ。

昨夜は雪が降った。
今日も風があり、寒い。
お花見日和ではないが、今年の桜は見ておきたい。長命館に行こう。

中年のご夫婦がひと組。寂しいお花見。


梅は残っていたよ。

つくしとすみれ。カタクリは寒さでうつむいていたから撮るのをやめた^^::


昨夜の雪のせいかお日様が弱いからなのか花数が少ない様に思った。
時間に縛られずぶらぶらきままなチョコっとお花見で元気充電^^。


おしゃべり2011/04/23 18:59

 
 Mさんが震災以来初めて見えた。
電話ではお互いの無事を確認し合っていたが顔を合わせてのおしゃべりは又別だ^^。
 
この40何日間、何もしないで過ごしてしまったわね~~

 同じセリフをつぶやいたがMさんは被災者へ支援活動をしたらしい。

 津波で流される自動車を見て関東に住む知人が「使っていない車があるから使いたい人を探してほしい」との声を受けて希望者を見つけ、5時間ノンストップで支援物資を詰めて車を運んできたその人に宿を提供し、車の名義変更につきあい、無事車を納めたそうだ。

 なんだか自分はおろおろ過ごしただけだったな~~^^;;

  こんなことも聞いた。
Mさんのお母様は「人をうらやむのはやめなさい。
人をうらやんでばかりいるといやしい顔になるから」とおっしゃったそうだ。
 彼女の穏やかな表情をを見ると本当だな~と納得する。

 広い人とのつながりを持っている人だから家に閉じこもりがちの自分にはMさんとのおしゃべりは世間への目を見開かされ いい刺激になる。

医師と患者2011/04/25 20:15


 滅多に会うことのないYさんと電話で話していた時のこと。

 「その後ひざの具合はどう?」と聞いた。
Yさんも私同様加齢による膝の不調を抱えている。
「買い物はできるから ま、よしとしなくちゃね」

 ある時、Yさんは医師に尋ねたそうだ。
目的地に行く場合階段のある近い道と平坦な回り道のどちらを選んだらいいか。

 「お医者さん何て答えたと思う?両方試して自分でいいと思う方にしなさいだって。」

 アハハ・・・・ご名答ね~

 思わず大笑いをしてしまったがYさんは腹が立ったと言っていた。

 今は物を言う患者が多くなっているから 医療トラブルを避けようとして昔のように「命預けます」「預かります」の絶対的な信頼関係が弱くなっているように思う。
  お互いの信頼があれば治療の成果も上がるだろうに医師にも患者にも残念なことだ。

おッ!2011/04/28 17:13

 バス停の前の桜の木にコアラが登って遊んでいた。
珍しいこともあるもんだ!!

 綺麗なヒカンサクラとかわいいコアラの表情をばっちりのはずが・・・トホホ
 画面が御覧のように大きくずれていた。

思い出をたどって2011/04/29 18:27

 震災のニュースを聞くたびに以前歩いた名取川の景色を思っていた。
自分の見たのどかな景色は酷く変わってしまっただろう。

 現状を心に残すことが 長く続くこの鬱々とした気持ちの切り替えのためには要るのかなと思った。

 二年前市街を流れる広瀬川に添って歩いて橋めぐりをした。

 広瀬川は河口近くなって名取川に合流し、閖上(ゆりあげ)の海に流れ込む。

 橋めぐりの足を延ばして藩政時代に造られた貞山堀まで歩いたこともある。

 昨年秋は閖上の浜でぼんやりと波を眺め心を癒した。

 バスを降りて広瀬川の堤防に出た。
海まで5・6キロ程あろうか。

 河川敷は畑に利用され、トラクターを使う人がいるほど広々として「北海道みたいだなー」と思ったものだった。

 川を右手に河口に向かった。
  畑はところどころではあるが耕やかされてぽつぽつと農作業の人も見える。
意外だった。

 ほとんど被害のない自分がぼんやりと過ごしているひと月半に新しい作物のために津波で荒らされた農地に鍬を入れていた人もいたのだ。
 
被災にめげず 前に進んでいる人たちがいる。

 畝には海水を被ったであろうつぼみ菜が健気に黄色い花を咲かせていた。

 しかし河口に近づくにつれて川は以前と変わりなく流れていたが
営々として耕してきた農地はところどころに倒木の残骸を残して荒涼としていた。

 さらに歩を進めると堤防を乗り越えた津波によって堤防の内側の家々は破壊されあとかたもなく白茶けた瓦礫の原野に変わっていた。
 瓦礫の中に車が数台あった。
人もおらず、シンとした無機質な広い空間だった。

 海まで1500m程の所で「堤防復旧中通行禁止」の看板があったので引き返した。

 堤防を歩いている人はいない。

 向かい風が強い。足を踏ん張って歩いた。

 堤防の両側にはすかんぽや野の花が咲いている。
もんきちょうが風に負けずよろめきながらも飛んでいるのを見た。
鶯の声も聞こえた。

 人も植物も力強く生きていることを実感した。